7. 今後に向けて

 1 素晴らしい経験

   今回の演奏旅行は、一言でいえば、想像以上に素晴らしい経験だった、ということだろう。
   特に、“姉妹都市を訪問して、現地市民オーケストラと合同演奏をおこなった”ということに2つの大きな意味がある。

   まず、市民レベルで、まさに隣り合っての真の姉妹都市交流が実現したこと、そして米国の優れた演奏団体に触れ、技術面だけでなく、運営面等でも今後の札フィルにとって収穫が大きかったこと、である。

   半年前から具体的な検討を進めてきた両オーケストラであるが、実際には顔をつきあわせ、一緒に楽器を弾いてみないと何とも言えない、といった不安はあった。
   特に、CSOは我々のレベルを超えたセミプロ的な活動を続けており、一体どのようなことになるのか、実は合同練習のその日まで心配は尽きなかった。
   しかし、両方のオーケストラメンバーが隣合って演奏し始めた途端、もう演奏会は心配ない、と確信した。
   そして、練習終了時にはすっかりうちとけあい、さらに演奏会本番終了後は本当に皆が“ひとつのオーケストラのメンバー”となっていた。
   なお、演奏会当日、団員は隣で一緒に演奏したCSOメンバーから一人一人プレゼントをいただいた。
   また団員の中には、演奏会翌日CSOメンバーの自宅に招待された者もいたほどである。

   そして、もうひとつ、半年間準備をすすめてきた間にも、様々な形で米国流ともいうべき合理性或いは物事の進め方を知ったが、今回の訪問で、さらに演奏会の裏方作業に関しても得るものがあった。もちろん必ずしも米国のやり方を我々の日頃の活動に即取り入れる、というものでもない。しかし参考になる点もいくつかあった。また、オーケストラをとりまく、ボランティア活動についても考えさせられた。
   さらに、CSOの技術レベルに今回大いに助けられた、といっても過言ではないほど、彼らの技術レベルは高かった。3時間という極めて短い事前練習時間にもかかわらず、素晴らしい演奏が出来たのもCSOの力が大きかったといえよう。

   今回の演奏旅行を通じて、我々はいろいろな意味で予想以上の成果を得ることが出来たのである。
 

 2 今後に向けて

   こうした経験を今後にどう活かしていくかは、我々に与えられた課題である。
   しかし同時に、ここまで出来た、という自信も忘れてはならないだろう。
   当初海のものとも山のものとも、であったいわば夢物語ともいえる企画を、中田氏をはじめ、多くの方々の協力により少しずつ形あるものにしていった実績は、今後の活動にも活かされることは間違いない。
   そして、ポートランドでの経験についても、単に“素晴らしかった”で終わるのではなく、我々の日頃の活動に少しでも活かせるものがあれば、積極的にとりあげ、有効活用していくことを積み重ねることが必要ではないだろうか。

   また、ポートランドで一緒に演奏会を実現した“仲間”として、CSOをはじめとする、米国側メンバーとの交流は今後も是非継続させていきたい。
   そして、早くもそれが実現することとなった。 2002年6月8日開催される、札フィル第36回定期演奏会で、友好合同演奏会で美しいヴァイオリン・ソロを聴かせてくれた、ポートランド出身のめぐみ・ストーさんが来日され、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を我々と一緒に演奏することがきまった。

   よく、上級者と一緒に演奏すると、それにつられ上手くなる、というが、今後は今回の米国での経験をしっかりかみ締め、さらなる札フィルの向上につなげていきたい。
   おわりに、この場を借り今回の演奏旅行実施のきっかけを与えて下さった中田昌樹氏および演奏旅行実施にあたり、さまざまな形でご支援、ご指導いただいた日米双方の多くの関係者の皆さまに心からお礼申しあげます。


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